こうべiウォーク2009

「こうべiウォーク」は、阪神・淡路大震災の被災地でもとりわけ甚大な被害を被った地域を実際に歩き、被災地の現状を見ながら、震災当時やそれ以前をも想起していこうというものだ。1999年から3回行われたあと中断、一部有志によって自主的に続けられていたが、初回から10年目ということで今年復活、メモリアルウォークと重複しないよう、日程も11日に設定されたため、参加しやすくなったのがありがたい。今回のウォークは、以前よりルートは短縮されているようだが、内容的には充実したものであったといえよう。


出発地点の大黒公園 (左),カトリック鷹取教会 (右) (2009.1.11)

「震災を契機に広がった市民活動を精神的にも資金的にも支援するという設立の理念を次の世代に受け渡す」という、このウォークの趣旨から、スタート地点での募金(1000円)を、NPO法人しみん基金・KOBEを通じて市民活動へ助成するとのことだ。このウォークは、NPO法人しみん基金・KOBEまち・コミュニケーション神戸復興塾NPO法人神戸まちづくり研究所からなるこうべi(あい)ウォーク実行委員会が主催、近畿ろうきん地域共生推進室が協力している。

集合場所からは、9時30分〜10時30分の間に受付を済ませたあと随時出発ということになっているが、ある程度人数がまとまったところで案内人がついて、説明を聞きながら回れる。私が参加したのは最後に出発した一団であったが、その案内人は実行委員会代表の小林郁雄氏であった。その充実した説明はたいへん勉強になり、この日のえべっさん同様残り福であったといっていい。


日吉町ひだまり公園 (左),日吉町ポケットパーク「あわせの地蔵」 (右)

参加者には現在のものとあわせて、10年前の第1回ウォークの際の地図が配られ、歩きながら震災後の移り変わりが解るようになっている。スタート地点の大黒公園を出発し、東側に出ると鷹取東区画整理地区だ。震災でほぼすべての家屋が焼失するという甚大な被害を受け、街並みは一変したが、その中で救援医療を担った医院が残っている。

まもなく、再建されて2年近いカトリックたかとり教会が見えてくる。敷地が、コミュニティーFM局・FMわぃわぃをはじめ、さまざまな市民活動の場となっていることでも知られている。このあたりの地名「海運町」がその歴史を伝えている。震災で礼拝堂が焼失したあと、ボール紙でつくられた柱からなる仮設建築「ペーパードームたかとり」がつくられた。私も一度訪れたことがあるが、これは今も台湾で活躍中とのこと。

同じくスタート地点の近くにある防災公園のひとつが日吉町ひだまり公園だ。あたかも春のような趣のあるのどかな感じだが、子どもたちの手形の舗装や「1.17」を記憶する公園のシンボルがある。そのはす向かいにもう一つの防災公園・日吉町ポケットパークがる。ここには、震災で黒こげになった地蔵と、大阪の仏教ボランティアが寄贈した地蔵があわせてまつられていて、地蔵堂は防災倉庫にもなっている。


防災用に井戸を整備 (左),新長田駅南再開発地区 (右)

東に進むと新長田駅南再開発地区に。ここの震災での被害については今更いうまでもないが、再開発ビルの空き店舗や今なお工事が続く空地がものはたる現状について思いをいたさねばならない。注意してみると、以前より若干少なくなってはいるが、こうした地域にもわずかながら震災を免れ、震災前からの姿を残しているところもある。

新長田駅南側の商業地域を南北に貫くのが大正筋商店街だ。その名のごとく大正時代から栄えていたところだが、震災で9割の商店が全焼、かわってつくられた再開発ビルには今なお空き店舗が少なくない。道路沿いだけならそれなりに店があるようにも見えるが、ひとたび中に入ってみるとシャッター通り・ゴーストタウンになっているところも多い。今回のiウォークではこういったところはあまり通らなかったが、所用で何度か足を運んでいるうちに必然的に遭遇するのはこういったところだ。


大正ハイカラ進歩住夢亭 (左),六間道商店街 (右)

こうした空き店舗を利用して、大正ロマンのイメージからつくられた「大正ハイカラ進歩住夢亭」がある。


大正筋商店街 (左),大正筋・六間道商店街の交差点 (右)

こうした再開発ビルは、ペデストリアンデッキや地下道で結ばれているところもあり、そのひとつ「アスタくにづか」は、国道2号線と阪神高速3号神戸線によって街が分断されるが、その下の地下通路で結ばれ、震災被害や街の変遷についてのパネル展示や「神戸の壁」の基礎部を利用してつくられた「鎮魂と復興のベンチ」がある。


(左),六間道商店街 (右)

大正筋商店街は六間道商店街とクロスする。六間道商店街は、つくられた当時はもとより現在の感覚でも充分広いその道幅からとって名付けられたもので、ふるくからこの地が商業地域として栄えていたことを想起させられる。長く神戸在住の年配の方からかつての繁栄ぶりを聞くことは何度かあったが…。ここにはまた、この地の出身であるマンガ家・横山光輝の偉業を発信する常設展示会場「六間道なごみサロン」や、その労作であるマンガ版『三国志』にちなんでつくられた「魏武帝廟」がある。「大正ハイカラ進歩住夢亭」とともにこれらは、地域住民向けというより観光客向けといった気がするが。


丸五市場

この付近の商店街としては、ほかにもビッグハートの本町筋商店街もあり、街おこしの努力を続けているという。六間道商店街と本町筋商店街にはさまれた一角に丸五市場がある。80年以上の歴史をもち、昔ながらの姿を残しているが、個人商店中心の市場ゆえ、定休日となっているところがほとんどと見えて、今回のiウォークでは、普段のにぎわいを見ることができなかったのが残念だ。


神戸協同病院 (左),せせらぎをゆく先行するグループの参加者 (右) ,シューズプラザ (右下)

商店街を抜けたあとは、震災では献身的に治療にあたり、地域に頼られる存在たろうとしている神戸協同病院に。iウォークを取材したり、参加者の感想を聞いて集めたりしている新聞記者の姿が目につく。それを通して今回のiウォークへの注目ぶりをうかがい知ることができた。

北に進んでJR山陽本線を越えるとまもなく新長田駅北区画整理地区に。ここも震災以前から区画整理と再開発が始まっていて、震災を機に一挙に進められたところだが、根強い反対がその完成を今なお阻んでいる。これにたいして、昨2008年、神戸市当局は「直接施行」という暴挙にでて、この地で生き続けようとする個人や企業に相次いで刃を向けて、区画整理と再開発を強行した。案内人の説明からは聞くことのできない、こうしたことを想起しながら歩くのも、今回のiウォークの重要な意義であるといわねばならない。
震災復興区画整理で初の直接施行 神戸市 2009/08/06・
新長田駅北で直接施行 復興土地区画整理事業で市 2009/10/31
神戸新聞


アジアギャザリー (左),御蔵東・西区画整理地区 (右)

ツアー旅行のようにお買い物もコースに含まれているのか、靴のまちながたの活性化をめざしてつくられたシューズプラザに立ち寄る。近くには、アジア雑貨の店が集まるアジアギャザリー神戸もある。それらの近くには、高取山の流れを利用してつくられたせせらぎがあり、これはまちづくり協議会の提案を受けて整備されたものだという。

東に進んで新湊川をわたると、御蔵東・西区画整理地区に。約2時間かけてゴール地点のみくら5に到着。炊き出しの豚汁をいただく。小林まち研理事長のしめのあいさつのあと、帰途についた。

こうべiウォーク10年目! 復活開催! こうべいi(あい)ウォーク2009 神戸まちづくり研究所

こうべiウォーク HARA Hideki's Blog

(2009.2.4)

SEO [PR] J[hr AEx o^C av[g^T[o[ Cu`bg SEO